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北辻 章浩
Radioisotopes, 67(10), p.483 - 493, 2018/10
ウランやネプツニウムをはじめとした、溶液内で種々の酸化状態をとるアクチノイドイオンの電極反応と酸化還元の特徴を概説する。フロー電解法は迅速かつ高効率な電解が可能で、反応速度の遅い酸化還元の観測にも適用できる。同法を用いて取得したアクチノイドの酸化還元挙動や、これに立脚した酸化状態の迅速調整法を紹介するとともに、電解に伴って発現する溶液内反応や電極上での触媒的還元などについても解説する。
山本 孝夫*
PNC TJ8625 96-001, 28 Pages, 1996/03
使用済核燃料の再処理後の高レベル放射性廃液中に含まれる有用核種の有効利用の観点から、太陽エネルギーの有効利用を目指して広く研究が進められている光触媒反応の可視光・紫外光の光量子を線などの放射線で置き換えた「放射線誘起触媒反応」を応用対象として取り上げ検討した。まず、光触媒反応について全体現象を構成している要素過程を検討し、可視光・紫外光の光量子を線光量子で置き換えたときに現れてくるであろう項目を放射線が持つ特異性をもとに検討した。さらに、それらをふまえた上で、問題点の摘出と今後の指針を提言した。
永井 士郎; 松田 光司; 新井 英彦; 畑田 元義
JAERI-M 7875, 75 Pages, 1978/10
昭和50年度から研究を開始した固体触媒存在下におけるCOとHの電子線照射効果について、現在までに得られた結果を整理して考察した。固体触媒としては、Feを主成分とするFischer-Tropsch触媒を重点として、その存在下におけるCOとH混合気体の放射線反応、および均一気相系の反応、前照射混合気体の触媒上での反応、触媒による混合気体の熱反応系関連反応に関する研究を行なった。これら種々の反応による生成物の分布および収量の比較から、Fischer-Tropsch触媒存在下における反応は、気相における放射線反応、未反応原料気体の触媒による反応、およびそれら反応による生成アルデヒドおよびオレフィンの水素化として説明可能であることが明らかになったシリカゲル、MgO、CrO・ZnO触媒存在下における反応についても検討を行い、これらの実験結果から得られた知見をもとにして今後の研究方向について考察を加えた。
北辻 章浩; 音部 治幹; 木原 壯林*
no journal, ,
弱酸性溶液中のUの電解酸化還元について調べた。U(VI)は可逆的にU(V)に還元され、還元生成したU(V)は酸溶液中では不均化反応しU(IV)とU(VI)が生成する。pH 2.1までの酸溶液中では、酸濃度が低い程不均化反応速度が遅くなる。より酸性度が低い溶液で、U(V)が数分間の誘導期間の後、急激に還元される現象を観察した。水晶振動子質量天秤法により電極表面への還元生成物の吸着を調べたところ、U(V)の還元の加速は電極への還元生成物の吸着と同期していた。U(IV)への電解還元により黒色微粒子の生成が電極表面及びバルク溶液中で観察された。この微粒子は約10nmの粒径をもつ。コロイド粒子を熟成した後ろ過し、X線回折により分析したところ、U(IV)の酸化物である蛍石型UOと同定した。これらの結果は、U(IV)凝集体はU(V)の電解還元と不均化反応において触媒として作用することを示している。U(IV)に代えてZr(IV)コロイド粒子を共存させた溶液中では、U(V)の還元速度の増大が観測された。
北辻 章浩; 大内 和希; 音部 治幹
no journal, ,
これまでに、U(IV)が水酸化物錯体を形成するような弱酸性溶液中における、U(V)からU(IV)への自触媒還元反応を報告してきた。本発表では、U(V)還元の反応機構に関する知見を得るため、Zr(IV)のような他の金属イオンの水酸化物粒子による触媒作用を調べた。一定の電位差ウラン溶液をバルク電解し、電解電流の変化を観測してUの還元挙動を調べた。Zr(IV)水酸化物粒子を共存させた場合、電解の初期からU(V)からU(IV)への還元電流が観測されたことから、U(IV)粒子が形成される前にZr(IV)粒子の触媒作用によりU(V)が還元されることが分かった。水溶液中でZr(IV)は酸化還元不活性であるため、U(V)の触媒還元において水酸化物粒子は反応場を与えるものの、電子授受には直接関与しないと考えられる。
道志 智*; 前田 和紀*; 平 義隆*; 渡邊 真太*; 平出 哲也
no journal, ,
酸化セリウム(CeO)の酸素欠陥は触媒活性に影響を及ぼすことが報告されている。触媒反応中の酸素欠陥の状態や濃度について高感度にその場測定することが求められており、陽電子消滅法の利用を検討している。今回、陽電子がトラップされているサイトを明らかにするために、粒子径の異なる試料を測定した。長寿命成分強度が大きい、粒子径2nmの寿命スペクトルから、まず最長寿命成分の寿命値を390.81.6psと決定した。次に、最長寿命成分が最も小さくなる60nmの粒子径の寿命スペクトルにおいて最長寿命成分を390.8psに固定し、解析を行い、もう一つの陽電子トラップサイトの寿命値を199.47.4psと決定した。これらは第一原理計算における表面、および中性な酸素欠陥にトラップされた陽電子寿命に近い数値となった。
荒井 陽一; 渡部 創
no journal, ,
実験、分析の実施により発生する放射性廃液は、反応性や引火性、発火性を有する試薬を使用するケースも多く、放射性廃液の性状・特徴に合わせた独自の処理方法が確立するまで、施設内で保管せざるを得ない状況にあった。日本原子力研究開発機構は大学や研究機関、企業と共に放射性廃液の処理処分プロセスの確立を目指した共同研究プロジェクトを開始した。本報告では実廃液の処理例や研究テーマの実施状況について報告する。
道志 智*; 前田 和紀*; 平 義隆*; 渡邊 真太*; 平出 哲也
no journal, ,
ガンマ線による対生成によって試料内部で陽電子を発生させることを利用したガンマ線誘起陽電子消滅寿命測定法(GiPALS)は、従来の測定法と比較してバックグラウンド成分が大幅に小さく、また陽電子源を試料内部に入れないため、高温高圧などの過酷な環境での測定が可能であるという利点がある。酸化セリウム(CeO)については、陽電子消滅寿命スペクトルは2成分でfittingできることが報告されている。しかし、実際にはバルクで消滅する成分、格子欠陥にトラップされて消滅する成分、および表面にトラップされて消滅する成分の3成分は少なくとも存在すると考えられる。そこで、本研究では、粒子径を変え、バルク中での陽電子消滅割合が異なるCeOのGiPALS測定を行い、3成分でfittingすることを試み、各成分を帰属した。また、第一原理計算により、CeOの陽電子消滅寿命におけるバルク成分、欠陥成分、表面成分を理論的に検討した。